環境デザイン専攻
古都のデザイン資源から学び
環境を豊かにする方法を提案
教育目的

環境デザイン専攻では,世界的な観点から見て高い価値のある京都という古都を観察し,その豊かな環境デザインの資源から学び,それを現代の制作に活用する可能性について考えます。京都の庭園,伝統建築,歴史的な街並みに直接触れることにより,学生は長期的,大局的な視点からものを判断し制作する方法を発見するようになります。卒業直後だけではなく,一生にわたり日本の今後の環境と生活の意匠を豊かにする方法を自主的に探り,積極的に提案できることを目指します。
授業概要(カリキュラム)
デザイン基礎1(1年次後期)

デザイン基礎(総合的なデザイン基礎課題,各専攻の基礎等)を,1週間から3週間の期間で取り組む課題を行い,デザインするために必要な表現方法や,基礎的な技術を身につけます。
デザイン基礎2A(2年次前期)?2B(2年次後期)
環境デザインを選択した学生は,インテリアや住宅などの小規模な建築,庭園のデザインを通して環境デザインの基礎を学びます。模型制作や2D?3DCADでの製図の基礎を身につけます。
環境デザイン1(3年次)
自然,都市,庭園,道路,建築,内装,家具,備品など,デザインを形成する部分と全体の関係について,実際に現場を訪れたり,建材や仕上材などの質感や色合いに触れながら学びます。与えられた環境に対するデザインの提案を目標に,歴史的な背景などを調べ,求められている改善策や,永く存続する環境の構築に貢献できるデザインの作り方を探っていきます。
環境デザイン2(4年次)
人のあり方や動き方を決める環境のつくり方を学ぶ過程で,多くの人が長い時をかけてつくってきた環境を対等に見据え,幅広い問題意識をもって,より大きな文脈の中で蓄積されてきた叡智に触れられるようにします。
制作課題を通して,新しいデザインが古い意匠と共に経年変化に耐えて末永く残るためにどのような方法があるのか,またデザインの評価と価値の創出はどのような関係にあるのかなどについて考察し,人間社会の継続にとって意味のある環境をつくる力を身につけます。
科目一覧
在学生の声

複合的観点から物事を捉える力が身につくと感じます。
安田 結葵さん(環境デザイン専攻4回生)
環境デザイン専攻では,諸分野で活躍される先生方の指導の下,家具やインテリア,住宅や店舗,都市空間など,スケールの大小を問わずさまざまな空間のデザインに取り組んでいます。この専攻では,学部生と大学院生?留学生が共に学び,異なる世代,異なる国籍の仲間から日々刺激を受け,学びを得られる点が魅力の一つです。
見学授業も豊富で,さまざまな建造物や庭園などを鑑賞することで目を養うことができます。歴史的価値の高い文化財が多く現存する京都という土地で学ぶ意義を感じられる授業です。
私は身の回りを取り巻く空間を構成する全てが環境であり,それは自らが設計した事物そのものだけでなく,元ある自然や人との相互的な影響があって初めて完成するものだと考えています。環境デザインを学ぶことで複合的観点から物事を捉える力が身につくと感じます。
専攻独自の取り組み
バルフェスティバルの家具デザイン

香川県の丸亀バルフェスティバル実行委員会の方から依頼を受け,バルフェスティバルで使うカウンターの企画,デザイン,モックアップの制作を行いました。制作はShopBotというCNCルーターを用いて行いました。デザインから制作まで一貫したプロセスを経験することができました。
京都駅東広場の「憩いの場」の提案

京都駅ビル開発株式会社からの依頼を受け,京都駅東広場を憩いの場として有効に活用できるよう,デザイン基礎の授業において,現地見学会,グループワークなどを行い,グループごとに「憩いの場」のプレゼンテーションを行いました。
祥栄小学校の「祥栄の森再生プロジェクト」

京都市立祥栄小学校からの依頼を受け,緑の空間「祥栄の森」の活用方法を提案しました。学生が「祥栄の森」を視察し,議論を重ねたのち,6つのグループに分かれて案を作成し,小学5年生に各グループからプレゼンテーションを行いました。学生にとっては,周辺環境を読み取りその場にふさわしい空間を提案するだけでなく,小学生たちが利用できるような内容を検討するなど,非常に有意義な取り組みとなりました。